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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页

青空文庫

四畳半にはまだ白い位牌が飾ってあった。姑は外から帰って来ると、その側へ寄って、線香を立てたり鈴を鳴らしたりした。

「新仏さまにまた線香が絶えておりましたに。」と言って、姑は余所行きのままで、茶の室へ来て坐った。

「へ、そうでござんしたかね。」と、母親は此間中の疲れが出て、肩や腰が痛いと言って、座敷の隅の方に蒲団を延べて按摩に療治をさせながら、いい心持に寝入っていた。

叔父は明後日の初七日のことで、宵から丸山へ相談に行っていた。

「ああ、お蔭さまで、私もいい気保養をさしてもらいました。」と、姑は誰もいない部屋や、火の消えている火鉢のなかを寂しそうに眺めた。

二、三日めっきり涼気が立って来たので、姑は単衣の上に娘の紋附の羽織などを着込んでいた。お庄も中形のうえに縞の羽織を着て、白粉を塗った顔を撫でながら傍へ来て坐った。そして母親に小言をいいながら火を興しはじめた。

「たまに私が按摩でも取れば、じきに口小言だでね。」と、母親は座敷の方から寝ぼけたような声で言った。

「自分は遊んであるいて、そう親ばかりいじめるもんじゃないよ。」

「またあんな解らないことを言うんだよ。