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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页
「お芳さんは、ああやっていて終いにどうするんでしょうね。」
外へ出ると、お増は不安そうに訊いた。
「あの人、自分でお金をよけておくという風でもないのね。着物や何か、いくら拵えたって知れたものですわ。」
「それでも、まだ二年や三年はね。」浅井は薄笑いをしていた。
二組の夫婦は、時々誘いあわして、浅草を歩いたり、相撲見物に出かけたりした。そしていつも酔っ払って、隣の客に喰ってかかりなどする隠居のそばに、浅井もお増もはらはらしていたが、お芳は手を口にあてて、顔を赧らめながら、後でくすくす笑っていた。
「何がおかしいんだい。」
隠居は額に筋を立てて、お芳を呶鳴りつけた。それがまたおかしいといって、お芳は浅井夫婦と顔を見合わせて腹を抱えた。
二十三
「私しばらくのあいだお宅に御厄介になっていてもよくて?」
月が代ってから、痔に悩んでいた浅井が、伊豆の方へ湯治に行った留守に、お雪が不断着のままで、ふとある日お増のところへやって来た。
お雪は前の家にいる時にも、青柳と喧嘩したとかいって、一度泊りがけでやって来たことがあったが、その時はじきに青柳が来て連れて行った。