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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
「そうでしたね。ゆうべも確かここは調べたのですが、何ぶん懐中電燈の光ですから、充分というわけにはいきませんでした」
三島刑事はそんなことを言いながら、ドアをひらいてその部屋へはいって行った。
いろいろながらくた道具がゴタゴタと並べてある一方の隅に、厚いカーテンが下がっていた。刑事はまっ先にそのカーテンに進み寄って、サッとひらいたが、ひらいたかと思うと、アッと叫んで、思わずあとじさりをした。
そのカーテンの蔭の道具類のあいだに、一人のパジャマ姿の男が、俯伏せに長々と横たわっていたからだ。
伊志田氏も刑事の叫び声に驚いて、その場に近づいてきた。そして、一と目倒れている人の姿を見ると、
「アッ、一郎だ、一郎、どうしたんだ」
と大声を立てて駈け寄った。
「このかたが一郎さんですか」
「そうです。やられているのかもしれない。見てやってください」
刑事も手伝って、倒れている人を仰向けにして、からだじゅうを調べてみたが、別に負傷している様子もない。
「一郎、しっかりしなさい。おい、一郎、一郎」
伊志田氏が烈しく肩を揺り動かすと、一郎は何かわけのわからぬことを呟きながら、眼をひらいて不思議そうに父の顔を見た。