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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

吉川君もよく知っていますから、『入ったところも出たところも違っている』と言って、記事の批評を始めたんです」

「それがお悪かったんでございましょう」

「えゝ。その次の休憩に取っ捉まったんですから」

「それから何うなりましたの? 警察の方は」

「僕達は○○大学の学生ですと言ったんですけれど、夏のことでカン/\帽に着流しでしたから、証明が出来ません。もう一つ具合の悪いことに、安達君の袂に捩子廻しが入っていたんです」

「何うしてそんなものを持っていらしったんでしょう?」

「ラジオを直したまゝ入れて忘れていたんだそうですけれど、警察ではそんなことを言ったって承知してくれません。吉川君は泣きながらお父さんの身分を申立てました。鉄道省技師工学博士です。しかし本当にしてくれません。電話をかけて下さいと吉川君は大きな声で泣き出しました」

「まあ/\」

「間もなく吉川君のお父さんが見えて、嫌疑が晴れました」

「でも、ひどいのね、強盗なんて。何ぼ何でも」

「しかし考えて見ると無理もないんです。湧井君から悉皆聞いて、新聞の記事よりも詳しいところを喋っていたものですから、テッキリ犯人と思い込まれてしまったんです」