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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「小宮さんに智恵をつけられてお出になりましたのね」

「智恵をつけられたって次第でもありませんが、もっとやって貰えと小宮君が言っているんです」

「私だって考えていますわ。でも、丸尾の奥さんのように毎日家を外にして出て歩けませんからね」

「分っています。それですから、僕としては実際この上もう望めません」

「それですから、小宮さんに望ませますの?」

「先ずその辺です。矢っ張り駄目だ」

「何が?」

「直ぐ分ってしまうんですから」

「オホヽヽヽ」

「苦し紛れです」

「駈引をなさるお口の下から、それですからが出ますからね」

「成程。ハッハヽヽ」

「出し抜かれているようでも、要所々々に釘を差してあるんですから、御心配に及びません。お正月って機会がございますわ。見ていて戴きます」

「何分宜しく。行って参ります」

と安達君は丁度訪問日だった。

初めの中と違って、佳子さんは必ずしも直ぐに応接間へ現れない。大抵待たせる。昨今それが追々長くなるのも気がかりの一つだった。安達君は電気ストーブの側に陣取って、先週見た雑誌の頁を撥り始めた。間もなく戸が開いたから振り返ったら、弼君がニコ/\笑いながら入って来た。