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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
「うむ。足掻いて細工をしても駄目だ。誰が誰を貰うなんてことは天命で定るものらしい。それだから僕は失敗しても、死ぬことはやめた」
「馬鹿だな。死ぬ気だったのかい?」
「死ぬ気はないけれど、万一の場合を思うと、種々の死に方を考える。僕はゾクッとしたよ。斯ういう馬鹿な人間が自殺をするんだろうと思って」
「ふうむ。正直者だな、矢っ張り君は」
「僕は人事を尽して天意を俟つ。しかし先方が余りひどい人事を尽すから癪に障る。斯ういうことは何うも面白くない。僕は君にだって随分失敬している」
「何うして?」
「君が引っ込んだ時、落伍したのかと思って、尾頭つきで祝ったんだ」
「ひどいことをしやがるな」
「ハッハヽヽ」
「しかし僕のは落伍じゃない」
「分っているよ。事情は兎に角、邪魔ものが一人くたばったと思って、葡萄酒で祝盃を挙げたんだ。ところが、その君が僕の加勢を申出てくれたんだから、この間は胸に応えた。此奴、矢っ張り正直者だと思ったら、本当に気の毒になったよ」
「何方が正直者だ?」
「お互はこんな競争をする柄じゃないんだ。吉川君丈けは生れつきの悪人だけれど」
と安達君も流石に悟り切れない。