轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页

青空文庫

と笑いに紛らす声がした。

「隠して置いたというのに、連れてゆかないというのかい」

そのとき誰の声だか、呀ッという叫び声がして、それに追っかぶせるように老人の声で、

「サアしみったれた見方なんかするない。もっと奥まで入って、よく調べろッ」

真下になにか黒い影がドサリと飛びこんで来たと思うと、

「うわーッ」

という獣のような叫び声をあげたものがあった。だが直ぐさまガラガラというなにか引っくりかえったらしい物音と共にまた外へ跳ね出していった者があった。

「あッはッはッ、あッはッはッはッ」

老人は無遠慮に、いつまでも笑い続けていた。

「……だから止せといったのに……。相手が悪い……」

と窘めるような声が切れ切れに聞えた。どうやら一人の方が、この穴蔵の中を覗こうとしたところを、老人にエイッと尻を突かれて、穴蔵の中に転げこんだものらしかった。

「若いの、向うへ行っちまったから、もう大丈夫だ。そろそろ下りてきてはどうだ」

僕はホッとした。危い瀬戸際であった。もうやられたかと思った刹那に救われたのだった。途端に関節から急に力が抜けてしまって、あれよという間もなく、こんどは自分の身体がツーと下に動きだすと、呀ッという間もなくドーンと大きな音をたて、いやというほど額と腰骨とを固いものにぶっつけた。