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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页

青空文庫

僕はその中へ指をさし入れてみた。

「うむ」

僕は呻った。手応えがあったのだ。摘み出してみると、黄金色目映ゆき、サイダーの栓抜きほどの大きさの鍵!

それには把手のところに、T市の紋章が浮き彫になって居り、鍵軸には「T市の鍵――T市長恒保存之」と刻してあった。

「おおT市の鍵だあ。万歳!」

「ああ黄金の鍵! 私たちの使命は遂に全うせられたッ」

僕たちは鍵を高くさし上げると、感極まって互いにひしと抱き合い、共に相手の胸に顔を埋めて嬉し泣きに泣いた。

これさえあれば、こっちのものである。さあ出かけようという速水を暫く押し止めて、乱雑になった室内を手早く片づけた。速水は鳥渡不服そうに見えたが、それでも一緒になって片づけた。

「この先生はどうしよう」

といって、速水が裸で寝ている動坂三郎を指した。これもまた元のようにする外ない。防弾チョッキもちゃんと元通り胸に当て、その上に寝衣を着せて帯まで結び、肩と足とを二人で担いでヤッコラサと寝床の中に寝かせた。

「オイオイ浅間君。そこはまだ敷蒲団だ。もう一枚まくらなきゃ……」

と速水は僕に注意をした。

「ナーニ、ここん中でも風邪を引きゃしないよ」