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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

だから理想主義ともなるのである。

質料(物質)の概念は云うまでもなく形相(形式)の概念に対立する。で、形相が存在ならば、質料(物質)は無でなければならないわけである。エレア学派で問題にされた虚無がプラトンのイデア論の具体化という課題に際して、「プラトンの質料」となったのである。形相(存在)をそのまま受け取り受け容れる無が、アリストテレスによればプラトンの質料(物質)なのである。だが無が本当に無ならばパルメニデスの云う通り、そもそも問題にされ得ないもので、無の概念が必要な場合は、実は所謂有(存在)という概念では有(存在)自身が片づかないことが意識された時に限る。プラトンの質料(物質)も、所謂存在(形相)の概念では片づけ切れないような、それ程迄に圧倒的な盛り盛りした存在が想定されねばならなかったればこそ、必要になる概念だったのである。そう解釈するのがプラトンの無(物質)の最も正しい又最も新しい見解であるようである。

そこでこうなる。存在は本当は形相(形式)としては把握出来ない、それは寧ろ、より高度の概念によって、質料(物質)の概念によって、把握される他はない。