轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かがりびのおんな

篝火の女

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1935(昭和10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,727 字 · 56 页

青空文庫

奉行所の者が、頻りと立ち廻って自分を詮議しているらしいので、昼間は当然、危険で歩けなかった。

『お寒うございますから、こんな物でも――』

と、お菅が雑炊をこさえてすすめる。

『ありがとう』

八雲は箸を取った。そして、変らない人の情を心のうちで拝んでいた。

間もなく、丑蔵が帰って来た。仲間をしていた頃から、よく力自慢をしていた体のいかつい男ざかりの漢である。どこかで飲んで来たとみえ、酒のにおいを持っていた。

八雲の姿を見ると、丑蔵は、酒で濁っていた眼を醒まして、

『これは――』と、朴訥らしく、畏まった。

『お前に、頼みがあって来たのです』

『わしのような者でも、思い出して下さいましたか。この丑蔵にできることなら』

『ほかではないが、筏を出して、私を、今夜のうちに、河向うまで渡してくれませんか』

『お易いことで――と云いたいが、お嬢様も知っての通り、又、甲斐の武田方からの督促で、御当家からも御軍勢が続々と出ているところだ。この辺りの筏は残らず徴発げられて、一艘だって有りはしませぬ。往来は、御城下の橋と、この井細田の舟橋との二口に限られて、それも、手形がなくては渡れまぬ』