轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
03 下巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页
「ああ左様で。………何しろ御先代は趣味のお広いお方でいらっしゃいましたからな。私も数回碁のお相手をさせて戴いたことがございまして、いつも爛柯亭へ訪ねて来てくれるようにと仰っしゃっておられましたので、一遍お邪魔して御蔵幅を拝見させて戴きますと、申し上げておったのでございましたが、………」
「実は本日は、その爛柯亭へ御案内申したかったのでございますが、生憎彼方が塞がっておりまして、―――」
そう云って未亡人は、それまで手持無沙汰にしていた幸子達の方へこなしながら、
「―――蒔岡さんの方々をお泊めしますのに、彼方を使っているものでございますから、―――」
「ほんとうに、此処のお座敷も結構でございますが」
と、幸子はようよう会話の仲間入りをさせて貰って、
「―――彼方は離れになっておりますせいか、実に閑静な、ええお座敷でございますわ。あそこに泊めて戴いておりましたら、どんな旅館の別館に泊りますよりも気分が宜しゅうございます」
「ほほ」
と、未亡人は又笑って、
「そんなこともございますまいけれども、何卒お気に召しましたら、幾日でも泊っていらしって、………主人も晩年には閑静なのが気に入りまして、もうずうっと爛柯亭にばかり引き籠っていたのでございます」