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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

03 下巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页

青空文庫

が、留守を誰に頼むとしようか、雪子ちゃんが残ってくれると都合が好いのだけれども、お母ちゃんの法事に出るなと云う訳には行かないし、と云って外に頼む人もないから、お久に預けて行くより外に仕方がないが、二三日のことだから大丈夫であろうか、だがそれにしても六人の同勢が何処へ泊まることにしようか、一軒の家へ皆が泊まっては迷惑だろうから二軒に分宿するとして、あたしは多分蘆屋へ泊めて貰うことになるであろう、などと云ったりして、まだ二た月以上も先のことを今から気を揉んでいる風であった。と、貞之助は語ったが、幸子も実は、今年の二十三回忌はどうするつもりなのか、そのうち手紙で聞いて見ようかと思っていたところなのであった。と云うのは、この前、昭和十二年十二月の父の十三回忌の時に、辰雄は大阪へは出て来ないで、道玄坂の近所にある、善慶寺の法類に当る何とか云う浄土宗の寺で略式に法事を済ましてしまったことがあった。尤もあの年は秋に本家が東京へ移住したばかりで、何かと取込んでいる際ではあり、又直ぐ大勢で出て来るのも大変であると云うので、このたびは勝手ながら亡父の法要を東京で営むことにする、もし御上京のついでに出席して下さる方があれば有難いが、御多忙の折柄わざわざお出向き下さるには及ばないから、何卒当日は御銘々に善慶寺の方へ御参詣を願い