轻松读懂日语经典作品
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
新太郎君の家も、二百坪足らずだが、日本一の銀座の地主さんだ。悲観することはない。門前で自動車を乗り捨てたのは病人への遠慮、見舞い品を運転手に持たせて表玄関へ近づくと、内から障子が明いて松浦さん自らが現れた。
「やあ」
「やあ」
と両方が驚く。松浦さんは自動車の音に医者かと思って出迎えたのだった。病家の焦燥然もあるべきことながら、
「さあ、何うぞお上り下さい」
と懇ろに客間へ請じた。
「如何でございますか? これは真のお見舞いのお印です。両親から宜しくとございました」
と新太郎君は頭に浮ぶまゝを自然に述べて見舞いの品を押し進めた。突然松浦さんに会ってしまったものだから、教えられた口上を考え出す暇がなかった。
「これは何うも恐れ入ります。お蔭さまで昨夜から大分経過が好いようです」
「それは結構でございますな」
「急に意識が回復し始めて来て、主治医もこの分なら生命に別条なかろうと申しましたので、今朝は一同稍愁眉を開いたところです」
「何よりでございました」
「昨夜はお電話を有難うございました。お父さんはもう悉皆お引き揚げですか?」
「えゝ。あの通り性急ですから、快いとなるともう凝っとしていられないのです。