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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「仕方がない。つき合おう。何処だい?」
「神楽坂の縁日さ」
「ふうむ」
「時々出掛けるって俊男君が言ったのを思い出したのさ」
「偶然行き合おうって寸法かい?」
「然うさ」
「一寸不良少年式だね。仕方がない。お供をする」
と寛一君は応じた。
二人はその晩、遙々神楽坂まで出掛けた。御苦労にも縁日の人込みに押されて彼方此方歩いたが、松浦家の人達は見かけなかった。しかし新太郎君も万一という淡い期待で来たのだから、失望はしない。
「兎に角、銀座じゃないから、斯うやって歩いていれば気休めになる」
「僕は退屈するばかりだよ。余り幾度も同じところを行ったり来たりすると怪まれるぜ」
「それじゃ家の方へ行って見ようか? 何うせ来た序だ」
と新太郎君が発起した。
「近いのかい?」
「然う遠くもない。一本道だから来れば屹度会う」
「今夜は約束だから完全につき合おう」
と寛一君も好奇心が手伝って、肴町の方へ向った。
「将来この道を度々通る運命があるか知ら?」
「それは勉強次第だよ」
「何とか言って、働かせることばかり考えている」
「いや。昨今は僕も見兼ねるくらいだよ。ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーだって目がある。