轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
しかしそのため……いや、それは後から分る。スラ/\と心持好く捗って意外の失敗に達するよりも、若し渋滞の裡に確実な成功の機会が湧いて来れば、その方が新太郎君も本望だろう。
松浦さん夫婦が起用しようとしている渋谷の伯父さんというのはお父さんの実兄で陸軍大佐だ。但し軍縮以前から首になって謡曲ばかり唸っている。陸軍大佐と羅紗屋の主人とは一寸腑に落ち兼ねる配合だが、今更仕方がない。松浦家は旗本にも拘らず、好い親戚に乏しい。この人が出世頭だ。もう一人大森の叔父さんというのはカラキシ信用がない。遣り手過ぎて失策ってばかりいる。時折松浦家へ泣きついて、唯さえ狭い清次郎氏の肩身を益※(二の字点、1-2-22)狭くする。
「兄さん、兄さんは一家の主人としてもう少し聢乎しなければいけない」
と歯ぎしりをしてくれるが、後が宜しくない。
「兄さんが聢乎していれば、五百や千の金は右から左へ俺に融通が出来る。少しちょろまかして下さい」
と言う。大森は図太い。渋谷はそんなことがない。軍人上り丈けに謹厳そのものだ。而も蔭へ廻っては、
「清次郎、貴様は好く辛抱が続くなあ」
と同情してくれる。