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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
釣れるか釣れないかという不確実なところに博奕の興味を備えている。人生五十年の運命を一日の中に髣髴させる一種の哲学だとあった。
翌日老人が釣魚に誘った。新太郎君は釣魚を見物するのが馬鹿の標本のことを知っていたが、先方は神経衰弱を直してくれる積りだから断り兼ねた。しかし老人、この日は好運に恵まれて、見る/\大きな磯魚を三疋まで釣り上げた。
「何うです? あなたも釣竿をお求めになっちゃ?」
「然うしましょうかな」
と新太郎君は興味を覚えた。
「これから町へ行って私が吟味して上げます」
と老人はナカ/\親切だった。新太郎君は釣道具一切を揃えて、昼から又お供したが、河豚を三疋釣ったばかりだった。
「汐加減で河豚ばかりです」
とお師匠さんも十疋ばかり釣った後、早目に切り上げることにした。
宿へ帰ると間もなく、新太郎君の室の窓下で鶏が喧しく騒ぎ出した。顔を出して見ると釣竿が転んで動いている。鉤にゴカイをつけたまゝにして置いたら、それを鶏が喰べて引っかゝったのだった。新太郎君は亭主を呼んで来た。お上さんも手伝って、鉤を外すのに大骨折りだった。
「西川さん、大物が釣れましたな」