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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「身体は兎に角、神経衰弱の方さ」
と伯母さんは身体と神経衰弱を別々に考えている。
「矢っ張りもう一月養生したいって言って来たんですか?」
「然うですよ。お前が容態を知っているから、万事お前と相談の上でお父さんにお願いして貰いたいんですって」
「もう一月彼方にいれば理想的には相違ありませんがね」
と寛一君は又義理に惹かされた。伯父さんに睨まれると硬くなる程度で伯母さんの前へ出ると軟かくなる。新太郎君に会えば悉皆共鳴してしまう。人柄の好いことこの上なしで自分料簡というものが些っともない。
「お前も然う思うの?」
「えゝ。それは無理に働けば働けないこともないでしょうが、用心の為めにですな」
「神経衰弱は側から見ていると仮病のようだけれど、あれでナカ/\苦しいんですってね。丹波さんも然う仰有っていましたよ。増本さんの家のようなこともあるんだから、油断はなりません」
「そんな心配は万が一にもありませんが、折角転地した序です。ゆっくりして完全に直す方が宜いですよ」
「お前とは身体が違うんだから、仕事の方は後れても仕方がないとして、まあ/\気長く養生をさせましょうよ」
とお母さんは寛一君を味方にしてお父さんを説きつける積りだった。