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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「でも先口のないことは確めたんだろう?」
「先口がないからって僕にくれるか何うか分らない」
「分らないから申込んで見るのさ。こゝにいてチョッカイをかけるよりは東京へ帰って正々堂々の手順を用いる方が何んなに安全だか知れないよ」
「然う出来ればそれに越したことはないが、正々堂々と申込んで万一断られた日には形なしだ」
「チョッカイで失策れば尚お形なしだぜ」
「それも然うだね」
「マザー丈けなら僕が必ず説きつける」
と寛一君は尚お頻りに帰京を勧めた。
宿に戻り着くと、秀子さんと芳子さんと俊男君が海へ出掛けるところだった。
「西川さんも原田さんも行きましょうよ」
と俊男君が誘った。素より辞すべくもなく二人は早速海水着に着換えた。途すがら、
「西川さん、先刻のお客さまを当てゝ見ましょうか?」
と秀子さんが申出た。
「えゝ」
「怖い/\ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーさんと甘い/\ママさんでしょう?」
「大当り。豪いですな」
と新太郎君は大袈裟に感心した。
「誰だって分りますわ、それぐらいのこと」
と芳子さんは不平だった。
「何故?」
「西川さんの恐縮振りってなかったんですもの」