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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「行くもんですか」
「何故?」
「あんな我儘ものを誰が貰うもんですか」
「あゝ分った。先刻の経緯でそんなに悪口を言うんでしょう?」
「いゝえ、大姉さんさえ持て余しているんですよ。何処へ行っても大切にされるものだから増長しているんです」
というような会話があった。
新橋で下りて銀座の寿商店へ向った寛一君は只管伯父を恐れた。伯父の信任を裏切ったという自覚がある。いや、疾うから裏切っているのだが、それが知れてしまったという自覚に咎められる。実は今晩は伯母にも首尾が悪い。確に誤解を受けている。しかし伯母一人なら充分納得の行くように説明が出来る。難物は新太郎君も言った通りガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーだ。何うかヘボ将棋の客でも来ていてくれゝば宜いがと念じながら、店から奥へ進んだ時、
「やあ、寛一君、待っていた」
とその苦手の伯父さんが先ず葦簾戸越しに声をかけたには、寛一君、もう助からないと思った。
「晩かったのね」
と伯母は不機嫌のようだった。二人は逗子以来の争議を続けていたのである。人柄の好い伯母も問題が独息子のことになると決して負けていない。
「つい晩くなって何うも相済みません。