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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
「何んなことだか僕は一向知らないんだ」
「白ばっくれても駄目だよ。僕はもう内股膏薬とは口を利かない」
「君は誤解している。兎に角後悔した人がそんなことを言うのは変じゃないか?」
「…………」
「僕だってガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーとマザーの間に入って困っているんだぜ」
と寛一君は苦しい立場を説明して領解を求める積りだったが、新太郎君はもう相手にならなかった。
新橋に着くと果して清吉が出迎えていた。新太郎君は荷物を渡して、
「おれ達はこれから一寸寄るところがあるんだから、お前は構わずに一足先へ行っておくれ。御苦労々々」
と急き立てた。
「君、何処へ寄るんだい?」
と先刻から新太郎君の態度に多少憤慨していた寛一君が咎めた。
「まあ、待ち給え」
と新太郎君は清吉をやり過して、
「君」
「何だい?」
「然う勃気になるなよ。未だ憤っているのかい?」
「君こそ憤ったじゃないか?」
「堪忍してくれ。僕は何が何だか分らないんだ」
「さあ、行こう」
と寛一君は促して歩き出した。
「君、今生の名残にもう一遍僕の頼みを聴いてくれ給え」
「変なことを言うね」
「僕は明日から生れ更るんだ」