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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

「芸術」1948(昭和23)年7月、9月、11月、1949(昭和24)年1月(未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,030 字 · 139 页

青空文庫

日本人にとっても、不便かね。」

「不便でなく、自然に出る場合もあるが、肝腎なことを話す場合には、いつも厄介になるよ。」

「それでは、肝腎なことを話そうか。だが、こちらの方はあとにして、そちらの方はどうだった。旅行の用件は、うまくいったかね。」

「だいたいうまくいったよ。あとはただ、山を見て歩いただけだ。」

天元社の用件は元来たいしたものではなく、いい加減に片付けてきたことを、菅原は話した。それから、阿蘇と高千穂と桜島と浅間との、ある限りの絵葉書や写真を集めてきたのを周夫妻に見せた。

「これだけきりないんだから、情けないものだ。」

「みな火山だね。」

「そう。高千穂は休火山だが、ほかのは活火山の代表的なものだ。」

「どうして、火山だけに興味を持ったのか。」

「別に理由はないが、阿蘇を見てから、ほかのも見たくなった。」

「登ったんですか。」と素英が尋ねた。

「桜島だけは行かなかったが、ほかはみな登りましたよ。」

「きれいでしょうね。」

「きれいというより、凄い感じですね。」

火山の話が、飲食の興を助けた。周も菅原もだいぶ酔ってきた。火山はつまり酔っ払いみたいなものだ。

「その印象を整理するために、二三日寝て暮すというのか。