轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きくやしき

菊屋敷

山本 周五郎

「菊屋敷」産報文庫、大日本雄辯會講談社、1945(昭和20)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,620 字 · 71 页

青空文庫

、われらの時代においてその蒙を啓くべきだと思うのです、おそらく先生もこれに御異存はないと信じます」

「それこそ父の望むところだと存じます、わたくしにはどうしても御講義などはできませんけれど、皆さまでご一緒にご講読あそばしてはいかがでございますか。毎月の忌日には此処へいらっしゃるのですし、その日なら塾もあいておりますから」

庄三郎はそれでもなお志保の講義を望んだ、それは志保を通じて亡き一民の精神に触れたいからである。しかしどうしても志保が承知しないので、ついには仕方なく、忌日に塾へ集って自分たちで講読することにきめ、話が終るとすぐに座を立った、……このあいだ志保は、注意を凝らせて杉田庄三郎の挙措を視た。理由はなにもないが、相対しているうちにふいと、――この方ではないかしら、そういう気持がしはじめたのである。なぜそう思いついたのかまったくわからないし、相手のそぶりに変ったところがあるわけでもなかった。ただふいとそういう気持に襲われ、同時になぜ今までこの方に気づかなかったのかと自分が訝かしくさえ感じられた。……杉田は藩の書院番を勤めている、二百七十石余の筋目正しい家柄で、父はすでに歿し、家族は母親とかれの二人きりである。