轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちのもじ

血の文字

黒岩 涙香

「綾にしき」1892(明治25)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,021 字 · 87 页

青空文庫

コロップの無きことを確め得たれば、彼れ余に向い「何も無い、探すだけは探したから最う出よう」と云う、今度は余が最先に立ち梯子を上り、頓て元の室に達すれば、件のプラトが又寝台の下より出来り歯を露出して余を目掛け飛掛らんとす、余は其剣幕に驚きて一足背後に退下らんとする程なりしが、斯と見て倉子は遽しく「プラトやこれ」と制するに犬は忽ち鎮りて寝台の所に退けり、余は漸く安心して進みながら「随分険呑な犬ですね」と云う「なに爾では有ません心は極優いですが番犬の事ですから私し共夫婦の外は誰を見ても油断せぬ様に仕附て有ります、商売が商売で雇人にも気の許されぬ様な店ですから」余は成る程と思いつゝも声を柔げて「来い/\プラト」と手招するに彼れ応ずる景色なし「駄目ですよ、今申す通りわたくしか所天の外は誰の言う事も聞きませんから」

読者よ是等の言葉は当前の事にして少しも怪むにも足らず又心に留むるにも足らざれども、余は此言葉に依り宛も稲妻の光るが如く我が脳髄に新しき思案の差込み来るを覚えたり、一分の猶予も無く熱心に倉子に向い「では内儀犯罪の夜に此犬は何所に居ましたか」