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ちのもじ
血の文字
黒岩 涙香
「綾にしき」1892(明治25)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,021 字 · 87 页
第四回(白状)
所だから、此断案は両君何と下さるゝか」警官は茲に至りて言葉無し、判事は深く考えながら「爾さ、曲者が自分の名を書ぬ事は明かだ、書のは則ち自分へ疑いの掛らぬ為だから、爾だ他人に疑いを掛けて自分が夫を逃れる為めだから、此名前で無い者が曲者だ、吾々は曲者の計略に載られて居たのだ、藻西太郎に罪は無い、爾とすれば本統の罪人は誰だろう警「爾さ誰だろう目「夫を見出すは判「目科君、君の役目だ」
斯く一同の意見が全く一変せし所へ、宛も外より入来る一巡査は藻西太郎を捕縛に行きたる一人なる可し「唯今帰りました」の声を先に立てゝ第一に警察官の前に行き「命令通り夫々手を尽しましたが是ほど旨く行た事は有ません警「では藻西を捕縛したか、夫は大変だが巡「はい手も無く捕縛して仕舞いました夫に彼れ全く逃れぬ所を見てか不残白状して仕舞いました警「や、や藻西が白状したとな」
第四回(白状)
罪なき人が白状する筈なければ藻西太郎が白状せしと云うを聞き一同は言葉も出ぬまでに驚き果て、中にも余の如きは只だ夢かと思うばかりなりき、今まで余の集め得たる証拠は総て彼れの外に真の罪人ある