轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あめのやまぶき

雨の山吹

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,433 字 · 33 页

青空文庫

こういう疑問も、だんだん強くなってゆき、それがしだいに、動木喜兵衛とむすびつくようになった。

――二人は身の上も似ていたし、汝生は彼にひじょうな好意をもっていた。

汝生の好意はむろん恋というものではなかった。恋ならば隠すことを誰の前でも平気で口にし、態度にあらわした。

喜兵衛は葛西の家士、動木伊平次の子であった。汝生と似ているのは彼も伊平次の実の子でなく、三歳のとき貰われて来て、十二歳で孤児になったことである。動木は三代も葛西の家士を勤めていたし、喜兵衛は温和しい気はしのきく少年だったので、そのまま葛西のほうへ引取られ汝生や又三郎と同じように育てられた。同じようにというのは、葛西の家族同様という意味で、寐起きにも、学問や武芸の稽古にも、まったく差別をつけなかったのである。

兵庫はそのとき十八歳で、又三郎と喜兵衛は同年、汝生は二人より四つ下の八歳だった。喜兵衛が引取られて来ると、汝生はたちまち喜兵衛になついた。それも年下のくせに姉ぶって、庇護者を気取り、またいつも代弁者になった。そのころ彼はまだ喜市といっていたが、その名が汝生の口から出ない日はないくらいだった。