轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
「それでは君にはまだ幾分の争気がある」
「若いのでしょう」
「どうだかねえ」
二人は又顔を見合わせて笑った。
純一の笑う顔を見る度に、なんと云う可哀い目附きをする男だろうと、大村は思う。それと同時に、この時ふと同性の愛ということが頭に浮んだ。人の心には底の知れない暗黒の堺がある。不断一段自分より上のものにばかり交るのを喜んでいる自分が、ふいとこの青年に逢ってから、余所の交を疎んじて、ここへばかり来る。不断講釈めいた談話を尤も嫌って、そう云う談話の聞き手を求めることは屑としない自分が、この青年の為めには饒舌して忌むことを知らない。自分は homosexuel ではない積りだが、尋常の人間にも、心のどこかにそんな萌芽が潜んでいるのではあるまいかということが、一寸頭に浮んだ。
暫くして大村は突然立ち上がった。「ああ。もう行こう。君はこれから何をするのだ」
「なんにも当てがないのです。とにかくそこいらまで送って行きましょう」
午後二時にはまだなっていなかった。大学の制服を着ている大村と一しょに、純一は初音町の下宿を出て、団子坂の通へ曲った。
門ごとに立てた竹に松の枝を結び添えて、横に一筋の注連縄が引いてある。