轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
諺にもいう天長節日和の冬の日がぱっと差して来たので、お雪さんは目映しそうな顔をして、横に純一の方に向いた。純一が国にいるとき取り寄せた近代美術史に、ナナという題のマネエの画があって、大きな眉刷毛を持って、鏡の前に立って、一寸横に振り向いた娘がかいてあった。その稍や規則正し過ぎるかと思われるような、細面な顔に、お雪さんが好く似ていると思うのは、額を右から左へ斜に掠めている、小指の大きさ程ずつに固まった、柔かい前髪の為めもあろう。その前髪の下の大きい目が、日に目映しがっても、少しも純一には目映しがらない。
「あなたお国からいらっしった方のようじゃあないわ」
純一は笑いながら顔を赤くした。そして顔の赤くなるのを意識して、ひどく忌々しがった。それに出し抜けに、美中に刺ありともいうべき批評の詞を浴せ掛けるとは、怪しからん事だと思った。
婆あさんはお鉢を持って、起って行った。二人は暫く無言でいた。純一は急に空気が重くろしくなったように感じた。
垣の外を、毛皮の衿の附いた外套を着た客を載せた車が一つ、田端の方へ走って行った。
とうとう婆あさんが膳を下げに来るまで、純一は何の詞をも見出すことを得なかった。