轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たかしまいし
高島異誌
国枝 史郎
「講談雑誌」1924(大正13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,007 字 · 26 页
やがて彼女は立ち上がった。が復直ぐに地面に坐り、また其処で暫く歔欷したが、遂に懐中から懐剣を取り出し、あわや喉へ突き立てようとした。
始終を見ていた純八は、此時思わず身を乗り出し懐剣持つ手をつと抑えたが、
「この短刀まずまずお放しなされい! 見れば浦若い娘の身で、このような所へ来るさえあるに、自害なさろうとは心得ぬ。死ぬ程の苦痛ござるなら、一応拙者にお話しなされい。及ばず乍らお力にもなり、ご相談にも乗り申そう」――無理に懐剣を奪い取り、尚優しくいたわった。彼の誠心に感じたものか、娘は軈て乱れをつくろい、顔に涙を掛けながら、自分の身の上を話し出したが、夫れは人の家に有勝の継母と継子の争いであった。
「家を出た事は出ましたけれど、手頼って行く所も無く、と云うて家へ帰るも厭、それを若し無理に帰りましたならば、継母様は屹度妾を責殺しなさるに違い無い。それより、一層自分から死んでほんとの母様のおいでになる幽冥へ参って暮らそうものと、それで覚悟を極ました所……」――「成程」と純八は仔細を聞くと、弱い一本気の娘心を、憐れまざるを得なかった。「成程、死のうと思われるのも、決して無理とは思われぬが、併し死んでは実も花も無い。