轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
に命をささげた子分の一人、雨宮潤一、潤ちゃんの変装姿であった。
「まあ、あんたまで、そんなこと気にかけているの。いやだわねえ。男のくせにお化けが怖くって?」
「黒トカゲ」は、例の長椅子にゆったりともたれて、美しい顔でせせら笑って見せた。
「気味がわるいのですよ。なんだかへんなぐあいですからね。それに、船のやつらは、揃いも揃って迷信家ときている。あんただって、あいつらが物蔭でボソボソささやいているのを聞いたら、きっといやな気がしますぜ」
船の動揺によろよろとよろけながら、潤ちゃんの事務長はさも無気味そうな顔をする。
室内には、シャンデリヤがあかあかとついているけれど、鉄板の壁一重そとは、とっぷりと日が暮れて、見渡すかぎり黒い水、黒い空、静かだとはいっても、山のようなうねりが、間をおいては押し寄せてくる、そのたびごとに、あわれな小船は、無限の暗闇にただよう一枚の落葉のように、たよりなくゆれているのだ。
「一体どんなことがあったっていうの? くわしく話してごらんなさい。そのお化けをだれが見たの?」
「だれも姿を見たものはありません。しかし、そいつの声は、北村と合田の二人が、別々の時間に、たしかに聞いたっていうんです。