轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
お互いに体温を感じ合わぬばかりである。しかもこの二人はうらみかさなる仇敵。すきもあらば敵の喉笛に飛びかからんとする二匹の猛虎。そのくせ、言葉だけは異様にやさしく、まるで夫と妻の寝物語のようであった。
「ねえ君、僕は夕食からずっとここに寝ているので、あきあきしてしまったよ。それに、君の美しい顔も見たくなった。ここから出てもいいかい」
いかなる神算鬼謀があるのか、明智はますます大胆不敵である。
「シッ、いけません。そこを出ちゃいけません。男たちに見つかったら、あなたの命がありません。もう少しじっとしていらっしゃい」
「ヘエー、君は僕をかばってくれるのかい」
「ええ、好敵手を失いたくないのよ」
そこへ、潤一青年を先頭に、五人の船員が、長いロープを持って、音をたてぬように注意しながらはいってきた。
(手帳の文字)明智ヲイスノ中ニトジコメタママ、ソトカラ縄ヲマキツケテ、イスゴト甲板カラ海ヘナゲコンデシマエ。
男たちは無言の命令にしたがって、長椅子の端から、ソッと縄を巻きはじめた。黒衣婦人はニヤリと笑いながら、作業の邪魔にならぬよう、椅子を立ち上がった。
「おい、どうしたんだい。