轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
署名は山川健作となっていた。
部屋がきまって、めいめいに付属のバス・ルームで入浴をすませると、二人は緑川夫人の寝室に落ちあった。
モーニングの上衣をぬいでズボンだけになった山川健作氏は、しきりと両手をこすりながら、いかめしい顔つきに似合わぬ、子供らしい声でしゃべった。
「ああ、たまらねえ。まだこの手ににおいがついているようだ。僕はあんなむごたらしいこと、生れてはじめてですよ。マダム」
「ホホホホホ、言ったわね。二人も生きた人間を殺したくせに」
「シッ、困るなあ、そんなことズバズバいわれちゃ。廊下へ聞こえやしませんか」
「大丈夫、こんな低い声が聞こえるもんですか」
「ああ、思い出してもゾッとする」山川氏はブルブルと身ぶるいをして見せて、「さっき僕のアパートで、あの死骸の顔を鉄棒でたたきつぶした時の気持って、なかったですよ。それから、あいつをエレベーターの穴へ落とした時、はるか下で、グシャッと音がしたっけ。ウウ、たまらねえ」
「弱虫ね、もうすんでしまったことは、考えっこなしよ。あんたはあのとき死んでしまったんだわ。ここにいるのは、山川健作という、れっきとした学者先生じゃないの。