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さんごくし
三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁
ところが、陣屋の諸所にあたってバリバリと異様な音がするので、あわてて、飛びだしてみると、四面一体は、はや火の海と化し、硝煙の光、投げ柴の火光などが火の襷となって入り乱れているあいだを、金鼓、矢うなり、突喊のさけび、たちまち、耳も聾せんばかりだった。
「あっ、夜討だっ」
狼狽を極めて、急に防戦してみたが、何もかも、間に合わない。
半数は、降兵となり、一部は逃亡し、踏みとどまった者はすべて火焔の下に死骸となった。
曹操の部下は、熊手をもって淳于瓊をからめ捕った。
副将の元は行方知れず、趙叡は逃げそこねて討ち殺された。
曹操は存分に勝って淳于瓊の鼻をそぎ耳を切って、これを馬の上にくくりつけ、凱歌をあげながら引返した。――夜もまだ明けきらぬうちであった。
ときに袁紹は、本陣のうちで、無事をむさぼって眠っていたが、
「火の手が見えます!」と不寝の番に起され、はじめて烏巣の方面の赤い空を見た。
そこへ、急報が入った。
袁紹は驚愕して、とっさにとるべき処置も知らなかった。
部将張は、
「すぐに烏巣の急を救わん」
とあせり立ち、高覧はそれに反対して、
「むしろ、曹操の本陣、官渡の留守を衝いて、彼の帰るところをなからしめん」