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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

四

これは土龍のように、地の底を掘りぬいて、地下道をすすみ敵前へ攻め出るという戦法である。河北軍が得意とするものとみえて、さきに北平城の公孫を攻め陥した時も、この奇法で城内へ入りこみ、放火隊の飛躍となって、首尾よく功を奏した前例がある。

こんどの場合は、城壁とちがい、官渡の流れが両軍のあいだにあるが、水深は浅い。深く掘りすすめば至難ではなかろう。

こう審配が献策したので、

「よかろう」と、袁紹は直ちに実行させたのである。二万余の土龍は、またたくうちに、一すじの地道を対岸の彼方まで掘りのばして行った。

曹操は早くもそれを察していた。なぜならば、坑の口から外へだした土の山が、蟻地獄のように、敵陣の諸所に盛られ始めたからである。

「どうしたら防げるか」

彼はまた、劉曄にたずねた。

劉曄は笑って、

「あの策はもう古いです。これを防ぐには、味方の陣地の前に、横へ長い壕を掘切っておけばいい。――またその壕へ、官渡の水を引きこんでおけば更に妙でしょう」と、いった。

「なるほど」

苦もなく防禦線はできた。

物見によって、それと知った袁紹は、あわてて掘子軍の作業を中止させた。