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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

「それがしはもと襄陽の生れ、廖化と称し、字は元倹という者です。決して将軍に害意をふくむ者ではありませんから、ご安心ください」

「して、何のために、卒をひきいて、わが行く道をはばめるか」

「まず、私の素志を聞いていただきたい。実は私は、少年の客気、早くも天下の乱に郷を離れて、江湖のあいだを流浪し、五百余人のあぶれ者を語らい、この地方を中心として山賊を業としている者です。ところが、同類の者に、杜遠という男がいます。これがつい今しがた、街道へ働きにでて、二夫人の車を見かけ、よい獲物を得たりと、劫掠して山中へ引き連れてきたわけです」

「なに。――では二夫人の御車は汝らの山寨へ持ち運ばれて行ったのか」

すぐにも、そこへと、関羽が気色ばむのを止めて、

「が、お身には、何のお障りもありません。まず、私の申すことを、少しお聞き下さい。……私は簾中の御方を見て、これは仔細ありげなと感じましたので、ひそかに、車についた従者の一名に、いかなるわけのお人かとたずねたところ、なんぞ知らん、漢の劉皇叔の夫人なりと伺って、愕然といたしました。……で早速、仲間の杜遠に迫り、かかるお人を拉し来って何とするぞ、すぐもとの街道へ送って放し還そうではないかと、切にすすめましたが杜遠は、頑としてきき入れません。