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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

と述懐して涙を流した。

勝者の手向けた一掬の涙は、またよく敵国の人心を収攬した。人民にはその年の年貢をゆるし、旧藩の文官や賢才は余さずこれを自己の陣営に用い、土木農田の復興に力をそそがせた。

府堂の出入りは日ごと頻繁を加えた。一日、許は馬に乗って東門から入ろうとした。すると例の許攸がそこに立っていて、

「おい、許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)。ばかに大きな面をして通るじゃないか。はばかりながらかくいう許攸がいなかったら、君らがこの城門を往来する日はなかったのだぜ。おれの姿を見たら礼儀ぐらいして通ったらどうだ」と、広言を吐いた。

いつぞや曹操が入城する時も、同様な高慢を云いちらして、諸将が顰蹙していたのを思い出して、許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)はぐっと持ち前の癇癪を面上にみなぎらせた。

「匹夫っ。わきへ寄れ!」

「なに。おれを匹夫だと」

「小人の小功に誇るほど、小耳にうるさいものはない。往来の妨げなすと蹴ころすぞ」

「蹴ころしてみろ」

「造作もないことだ」

まさかとたかをくくっていると、許※(「ころもへん+睹のつくり」