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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

遼西・遼東

一

高幹が櫓から見おろすと、旧友の呂曠と呂翔だった。

ふたりが大声でいうには、

「一度は故主にそむいて、曹操に降ったが、やはり降人あつかいされて、ろくな待遇はしてくれない。もと木に勝るうら木なしだ。今後は協力して曹操に当らん。旧誼を思い出し給え」

高幹は、なお疑って、兵は門外にとどめ、二人だけを城中に迎え入れた。

「曹操はたったいま幽州から着いたばかりだ。今夜、討って出ればまだ陣容もととのわず遠路の疲れもある。きっと勝てる」

浅慮にも、高幹は、二人の策に乗ってしまった。堅城壺関も、その夜ついに陥落し、高幹は命からがら北狄の境をこえて、胡の左賢王を頼って行ったが、途中家来の者に刺し殺されてしまった。

遼西・遼東

一

いまや曹操の勢いは旭日の如きものがあった。

北は、北狄とよぶ蒙古に境し、東は、夷狄と称する熱河の山東方面に隣するまで――旧袁紹治下の全土を完全に把握してしまった。彼らしい新味ある施政と威令とは、沈澱久しかった旧態を一掃して、文化産業の社会面まで、その相貌はまったく革ってきた。

しかも、曹操は、まだ、

「――これでいい」と、しなかった。

彼の胸中は、大地の広大のごとく、果てが知れなかった。