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さんごくし
三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁
四
荊州へ行ったら必ず二度と帰ってはきますまい。それがしに追い討ちをおゆるしあれば、長駆追撃して、彼を首とするか、生捕ってくるか、どっちかにします。どうかご決断ください」
しかし袁紹はゆるさなかった。玄徳のことばだけでは、まだ惑ったかも知れないが、簡雍が二重の計にかけてあるので、深く信じこんでおり、疑ってみようともしないのである。
郭図は、長嘆したが、黙々退出するしかなかった。
簡雍はすぐ玄徳に追いついていた。うまく行ったな、と相顧みて一笑した。
冀州の堺も無事に脱けた。
孫乾はさきに廻って、ふたりを待ちうけ、道の案内をしてやがて関定の家へついた。見れば――
関定の家の門前には、主の関定やら関羽以下の面々が立ち並んで出迎えている。久しやと、相見かわす眼は、彼もこなたも、共にはやいっぱいな涙であった。
四
「おう」
「オー……」
瞬間ふたりの唇から洩れたものは、それでしかない。関羽も玄徳も、無言は百言にまさる思いだった。
関定は二人の子息とともに、門を開いて玄徳を奥に招じた。住居はわびしい林間の一屋ながら、心からな歓待は、これも善美な贅にまさるものがある。
やや人なき折を見て玄徳と関羽は、はじめて手を取りあって泣いた。