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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

よいか、きっと心得ておけよ」

于吉はもう瞑目していた。

白髪のうえからかんかん日があたる。夜半は冷気肌を刺す。祭壇の大香炉は、縷々として香煙を絶たず、三日目の朝となった。

一滴の雨もふらない。

きょうも満天は焦げて、烈々たる太陽だけがあった。ただ地上には聞き伝えて集まった数万の群集が、それこそ雲のごとくひしめいていた。

すでに午の刻となった。陽時計を睨んでいた吏は、鐘台へかけあがって、時刻の鐘を打った。数万の百姓は、それを聞くと、大声をあげて哭いた。

「見ろ! およそ道士だの神仙だのというやつは、たいがいかくの如きものだ。ただちにあの無能な老爺を焚殺せ」と、孫策が城楼から下知した。

刑吏は、祭壇の四方に、薪や柴を山と積んだ。たちまち烈風が起って、于吉のすがたを焔の中につつんだ。

火は風をよび、風はまた砂塵を呼んで、一すじの黒気が濃い墨のように空中へ飛揚して行った。――と見るまに、天の一角にあたって、霹靂が鳴り、電光がはためき、ぽつ、ぽつ、と痛いような大粒の雨かと思ううち、それも一瞬で、やがて盆をくつがえすような大雷雨とはなってきた。

未の刻まで降り通した。