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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

于吉のすがたが現れて、彼の寝顔をあざ笑い、彼の牀をめぐり、彼が剣を抜いて狂うと、忽然、夜明けの光とともに掻き消えてしまうらしい。

目に見えるほど痩せてきた。そして孫策は、昼間も昏々とつかれて眠り落ちている日が多かった。

母は、枕元へきて、頼むようにまたいった。

「策。どうぞ、おねがいですから玉清観へお詣りに行ってください」

「寺院に用はありません。父の命日でもありますまい」

「わたくしから、玉清観の道主におすがりしたのじゃ。天下の道士を請じて香を焚き、行を営んで、鬼神のお怒りをなだめていただくように」

「孫策は幼少からまだ、父が鬼神を祭ったのは、見たこともありませんが」

「そんな理窟はもういわないでおくれ。英魂も怨みをのこしてこの土に執着すれば鬼神になる。まして罪もなく殺された神仙の霊が祟りをなさずにいましょうか」

老母はよよと泣く。夫人も泣きすがって諫める。孫策もそれには負けて、遂に轎の用意を命じ、道士院の玉清観へおもむいた。

「ようこそ」

と、国主の参詣をよろこんで、道主以下、大勢して彼を出迎え、修法の堂へ導いた。

気のすすまない顔をして、孫策は中央の祭壇に向い、まるで対峙しているように睨みつけていたが道主にうながされて、やむなく香炉へ香を焚いた。