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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
富士春が
「庄さん、本当に知っているのかい」
「知っているとも――俺、こんなお嬢さんに、嘘を吐くような悪じゃあねえ」
「そら、そうだけど」
深雪は、庄吉の、いうこと、することに、腑に落ちぬところはあったが、白昼、町の真中であったから、二人の相合傘を人に見られるほか、安心していてもいいと、考えていた。
「そのねっ」
庄吉は、格子戸を出ると
「ひょんなことがありましてね――」
庄吉は、泥溝板を、ことことさせながら、こう云ったまま、黙ってしまった。深雪は、自分から、口を利きたくなかったが
「ひょんなこととは?」
「それが、その――実、全くの、ひょんなことでね」
庄吉は、こう云ったまま、又、黙ってしまった。往来へ出ると、人々が、二人を振向いて眺めた。
「急ぎますから――」
「ええ、お嬢さんは、今、お邸からいらっしゃいましたか」
「はい」
「四国町の自身番に、人だかりがござんしたでしょう」
「はい」
「それなんで――お兄上様は、其処にいらっしゃいますが――」
深雪は、庄吉の顔を見た。胸が、ぎくりとした。
「自身番?」
「ええ、それがね」
「やってやがらあ」
「やいっ、庄公っ」
二人が通りかかった小藤次の家の中から、一人の職人が、怒鳴った。