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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
刺客行
「切手は、持っております。御弁当と、それから、達者な駕人足とを、御頼み申します。時刻は、六つ前――」
「かしこまりましてござります」
番頭が立去ると、早立の客達は、風呂へ入って寝るらしく、隣りも、下も、もう、蒲団を布く音を響かせてきた。
七瀬は、小太郎のことを、八郎太のことを、綱手は、益満のことを、それから、二人で暮している空想を――益満は、敵党に根本的打撃を与える方法を――お互に、それぞれ考えながら、廊下を、轟かせて蒲団を運んで来る女中達の足音を、黙然と聞いていた。
刺客行
大井川の川会所の軒下には、薄汚れのした木の札がかかっていて
帯上通水、九十五文
と、書いてあった。今日の川水は、渡し人足の帯まで浸すからであった。汚い畳敷の上へ台を置いて、三人の会所役人が、横柄に、旅人の出す金と、川札とを引換にした。その横、暗い奥の方、会所前の茶店の辺には、川人足が群れていて、旅人の川札を眺めては
「荷物は、何れでえ」
とか
「甲州。われの番だに、何を、ぞめぞめこいてやがる」
とか、怒鳴っていた。
大井川を渡る賃金は、水嵩によってちがっていて、乳下水、帯上通水、帯通水、帯下水、股通水、股下通水、膝上通水、膝通水と分れていた。