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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

流行物

「あれえー、お父さん、恐いようっ、と、ひらりと躱して、角の王手だ」

若い衆は、二人を見たり、盤を見たりしながら、ほのかに、店から流れ出している灯の中に立っている、睦まじそうな二人に

「王手、嬉しい、二人の仲、か――俺、癪だから、こう、お城の中へ、お引っこもりだわな」

二人は、店先を離れた。

「庄公も?――」

富士春は、益満の肩のところで、呟くように聞いた。

「さあ――とにかく、寄席へ行けば、判るであろうが――」

南玉、何処へ行く

油買いに、酢買いに

隣りの油は、十文で

横町の油は、七文で

三文、徳しょと、急いだら

横町の、犬の糞、踏んづけた

益満は、唄いながら、ずんずん歩いて行った。富士春は、庄吉にも逢いたし、益満と又、いつの間にか、昔のような仲になっていることを、庄吉に知られたくないし――

(庄吉のことを、口へ出したので、休さん、気を悪くしたのではないかしら――)

と、心配しながら、益満の、機嫌をとるように、出鱈目な、その唄と、節とに合せて、三味線を弾きながら、ついて行った。

街は、すっかり暗くなっていたが、寄席へ行くのには、少し早かった。

「女師匠の浮気さは、か。