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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
父子双禍
そして、呟き入った。
「恐れながら――」
沈黙している一座の中へ、八郎太が、低いが、強い声を、響かせた。斉興は、湯を一口飲んで、首を延して、名越の背後をのぞき込みながら
「おのれは、何んじゃ」
小藤次が
「裁許掛見習、仙波八郎太と申します」
「これっ――裁許掛を勤める程のものなれば、濫りに、奥へ忍び込んだ罪ぐらいは、存じておろう――」
「恐れながら――」
「黙れっ――直々の差出口、誰が、許したっ。不届者。軽輩の分際として、老職へ、強談するのか、身に――身に――」
斉興が、興奮した手から、湯を溢そうとするのを、由羅が、手を添えて
「将曹――二人を退げてたもれ」
「退れっ」
斉興が、八郎太の方を睨んだ。
「御身体に障ります」
お由羅が、人々を叱るように叫んだ。仙波が
「八郎太」
と、口早にいって、目を配せた。八郎太が、平伏した。そして、一膝退ると、斉興が
「閉門しておれ、閉門」
と、叫んだ。小藤次が俯向いて、にゃっと笑った。
父子双禍
目付、洞川右膳と、添役、宝沢茂衛門とは、沈んだ顔付をして、八郎太の手もとを見ていた。八郎太は、赤い顔をして、墨を磨りながら、御仕舞に連署している三人の名――島津将曹、伊集院平、仲吉利へ、押えきれない憎しみと、怒りとを感じていた。