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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

と、母親は、大風呂敷の中へ、入りきらない大蒲団を包みながら、怒鳴った。

「あて、天井へ入れて、焼けて来たら、死ぬがな」

娘は、顔を歪めて、自分の晴着を、抱きしめながら、顔色を変えていた。

「愚図愚図云わんと、早う、隠れさらせ」

父親は、店の間から怒鳴った。

「お尻、押して上げるさかい――この子、早来んかいな」

娘は、裾を合せて、天井へ這い込んだ。母親は、娘の白い、張りきった足を見て

(早う養子を貰わんと、こんな時に、かなん)

と、思った。女中は、台所の上げ板の中に、早くから、もぐっていた。

べきん、めりっ、と、戸を、木を折り、挫く音が聞え出した。わーっと、鬨の声が上った。非人と、窮民中の無頼の徒とは、煙の下から、勝手に四方へ走って、町家を襲った。そして、近所の人々と、ついて走って来た弥次馬とは、戸が破れ、品物が引きずり出されると

「やったれやったれ」

と、懸声しながら、乞食の脚下の品物を懐へ入れたり、担いで逃げたりした。乞食は、英雄のように、突っ立って、棒を振りながら

「御仁政じゃ、御仁政じゃ。皆んな寄って、持ってけ」

と、叫んでいた。気の利いた人は、ありったけの米を、檐下へ積んで、家内中が