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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

梅野は、みだらなことをいって、力任せに、指をしめつけた。深雪は、左手を、梅野の手へかけながら

「御免下さりませ」

と、痛さに、身体をまげた。

「よいことをした後は――」

深雪は、脣をかんで、身体をねじ曲げて、苦痛をこらえていた。

「いつから、一緒になったえ」

こういうと、梅野は、少し、力をゆるめた。

「いいえ、そんな――」

深雪が、微かにいうと

「強い娘じゃのう」

梅野が、もう一度、掌へ力を入れたとき、廊下に、衣ずれの音がしてきた。梅野は、煙管をとって

「動いてはならぬぞえ」

と、いって、立上った時

「未だ、臥せらぬのかえ」

足音と、衣ずれとが、部屋の前で、止まった。

「はい、お勤めの終りますまで」

と、梅野は、口早に答えて、周章てて、障子へ手をかけた。と同時に、外からも、一人の侍女が、開けようとした。そして、障子が、さっと、開くと、お由羅が、白綸子の着物を着て、立っていた。梅野は、廊下へ出て、手早く障子を閉めようとすると

「誰じゃ」

お由羅は、深雪へ眼をやって、梅野に聞いた。

「新参者の深雪でござります」

「深雪」

「はい」

深雪は、お由羅に、泣顔を見せまいと、俯向いたままで、お由羅の方へ、向き直って手をついた。