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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
二人は、百城の眼から、脣から、身体中から、夫の、父の、子の、兄の安否を、探そうとした。
「わかりましてござりますか」
「うむ」
二人は、その短い声から、返事から、判断しようとした。そして、不安な胸を打たせていると
「現場へも、参った」
百城は、女二人の問いに答えないで、袋持に話しかけた。
「比叡山の、何の辺?」
「頂上――物の見事に、斬ってあったそうじゃ。袈裟がけに、一尺七寸、深さ四寸というのが、返す太刀で斬ったらしく、下から上へ斬上げてあったのは、人間業でないと、申すことじゃ」
「下から上へ、左様なことができるかのう」
「陶山が、見た話ゆえ、確かであろう」
七瀬と、綱手とは、待ちきれなかった。
「して、その狼藉者は?」
百城は、黙って、じっと、袋持の胸の辺を見ていたが、急に、二人の方を振向いて
「狼藉者は――いいや、そういう名で呼んでは勿体ない。斉彬派の忠臣として、多勢を目掛けて、命を捨てに参ったのは――」
それだけいって、二人から、眼を離し、袋持の方へ
「仙波八郎太父子」
七瀬と、綱手との顔色が、少し変った。だが、七瀬は、すぐ、落ちついた声で
「二人きりでございましたか」