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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
然し、お身は、恋しい。お身も、苦しかろうが、わしも、苦しい。何うしたならよいか。父とお身との板挟みじゃ。いや、武士の道と、恋との板挟みか――綱手、後悔すなと申したのは、ここのことじゃ。わしは、欲が深いと申すなよ。お身を、わしの味方として、恋も、功名も、得たいのじゃ。然し、こうなっては――」
と、いった時
「月丸、出い」
と、袋持が、呼んだ。
「女も――」
二人は、すぐに立上った。
「困ったことが起きたのう、百城、困ったことが――袋持、暫く、遠慮せい。両人、もっと、前へ参れ」
袋持は出た。二人は、敷居際から、少し前へ進んだ。
「別れぬか、何うじゃな。男も、女も、いろいろとおる。この邸だけでなく、広い世の中に、いっぱいおる。少し、居りすぎるくらいにおる。齢が若いと、すぐ、手近いところに、惚れるでのう。後前の見境もなく、一緒になってしまって、後で、後悔をする、もっとよい女が嫁に貰えたの、もっと、よい聟が――と。しかし、二人は、よう揃うておる。申分は無い。が、無いが、牧、お前は、牧仲太郎の子として、又、調所殿のあずかり子として、なかなか重任がある。女にべたべたしている身でもなければ、時でもない。