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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

小太」

益満は、小太郎の顔を見た。

「うむ」

「何を考えている」

「わしは――」

小太郎は、益満の眼を見ながら

「父は、例の気質じゃで、今度の、お守りのことで、母を離別するにきまっている」

「或いは――然らん」

益満が、うなずいた。

「大分、こみ入ってますな」

南玉が、後方から、声をかけて

「智慧がお入りなれば、上は天文二十八宿より、下は色事四十八手にいたるまで、いとも、丁寧親切に御指南を――」

「うるさいっ。貴様、先へ行って待っていろ」

益満が、振返って叱った。

「承知」

南玉が、手を上げて、小太郎へ挨拶して、足早に、行ってしまった。

「わしに、一策がある。母上が、戻られたなら、知らせてくれ」

「一策とは?」

益満は、声を低くして、小太郎に、何か囁いた。小太郎は、幾度もうなずいた。

「これが外れても、未だ他の手段がある。所詮は、八郎太が一手柄立てさえすればよいのではないか――こういう機――一手柄や、二手柄――」

益満は、怒っているような口調であった。三田屋敷の門が見えた。

八郎太は、自分の丹精した庭の牡丹を眺めながら、腕組をしていた。

「只今」

と、小太郎がいっても、振向きもしなかった。