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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「暫く――」
と、云って、案内の士が、先へ走って行った。二人は、ゆるゆる歩きながら
「ああいう下々の奴はいいかしら。郷田一人が呑込んでおっても、一人では、大砲は運べまいし――」
「それは、郷田の指図一つで、何うにでもなろう」
と、云った時、木柵のところから
「こちらへ」
と、叫んで、一人の士が、手招きした。二人は、急いで近づいた。粗末な、黒い板の、扉のところに、二三人の士が立っていた。柵の中には、提灯の灯が、うろうろしていた。
和田が、人々へ、軽く、頭を下げて、その門のくぐりへ頭を入れると同時に
「何するっ」
と、叫んだ。そして、右手で、柱を掴んで、身体を引こうとしたが、二三本の手が、和田の肩へ、帯へかかった。和田は
「高木、逃げろ」
と、叫びつつ、中へ、引き摺り込まれて行った。和田が
「何をするっ」
と、叫んだ、瞬間、門の前に立って、じっと二人を眺めていた三人の士が、高木の首へ、手へ、飛びかかった。
「何をっ」
高木は、真赤な顔になって
(露見したな)
と、思いながら、一人の士の胸を、左手の肱で、突き上げざま、前の一人へ、頭突をくれて、後方から組もうとするのを、素早く、身体を、ちぢめて、右手へ抜けた。