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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

と、和田は思った。何っか、引掻かれたのか、撲たれたのか、身体中ひりひりしたり、鈍く痛んだりしてきた。

(昨夜、二人をつけて来た奴が、矢張り、話を聞いたのだろう――捕えられたのは、二人だけか、悉く、露見したのか?)

和田は、悲しさも、憤りも、何もなく、静かに

(外の人は、無事であってくれ。高木も)

と、心の中で、祈った。刀を抜いているらしく、烈しい、気合が、聞えて来た。

「待てっ。待てと、申すに」

高木は、じりじり退きつつ、叫んだ。手は刀にかかっていた。三人の対手は、黙って、隙をうかがっていた。

「誰の指図で、何ゆえに召捕るのか? 拙者に、罪があれば、何ゆえ、評定所より――」

「黙れっ、黙れっ」

「何?――訳を明かさずして、盗賊と同じように召捕るからには、捨ておかんぞ。訳を申せ、訳を――訳さえ判らば、召捕らしてもやろう。申せ。申さぬかっ」

高木の、後方から、走って来る二三人の足音がした。

(門番所の奴だな)

と、感じると、共に

(後方から、かかられてはいけない)

と、思った。高木は

「いわぬかっ」

と、絶叫すると同時に

「ええいっ」

刀が光った。人々が、さっと、退いた瞬間、左手へ走り出した。